第23回

部屋料金と1人当り料金



 外国のお客さまを受け入れるために、ジャパニーズ・イン・グループ(外国人客 を積極的に受け入れている旅館の全国組織)に加入した21年前、私どもの宿泊料金は、1泊2食7,500円でした。
泊食分離しなければいけないと言われて、部屋代4,100円、夕食2,500円、朝食900円と表示しました。やがて外国のお客さまが宿泊客の9割に達すると、夕食を食べる人がほとんどいないので、周辺地図を作り、どこで食事ができるかを教えてあげて夕食をやめました。

 ところで、英文のパンフレットを作ろう とした時、料金表示に困ってしまいました。洋室は使用人数に合わせて作られていますからシングル、ツイン、トリプルと部屋料金の表示になります。私どもでは、その部屋を何人で使うかによって料金を決めるので「フォーワンパーソン(for One Person)」「フォートオピュウピイル(for two People)」と表示しました。
ところが「1室を1人で使う時に比べ て、2人で使う時は空間が半分になるのだから、同じ料金ではおかしい」と言われて、人数が増えるごとに1人当たり300円安くしました。

 「部屋料金を払ったのだから、その部屋に何人泊まってもいいでしょう」という人がいて驚きましたが、国によっていろいろな料金設定があることを知りました。
家内と泊ったオンドルのある韓式旅館は、和室と同じような形でした。ところが部屋料金は1人でも2人でも同じ料金です。
韓国のグループの人が泊った時、人数が減っても部屋を返せないと言ったのは、こんな理由もあったのかなと思いま した。
アメリカのモーテルでは、大きなベッ ドが2つあって、子供も一緒に寝られる大きさなので、家族旅行で良く使われるそうですが、部屋料金なので子供料金は請求されないと聞きます。
 
 アメリカ在住の日本人の主婦の人から、家族料金の問い合わせがありました。 「ご夫妻で9,400円、子供さんは3歳まで無料、4歳〜5歳1,400円、 6歳〜11歳は2,500円で、これに 5%の税金が加わります」と答えると 「日本は一人当り料金だから、高くて家族旅行がしにくいのよね」と言われました。 家内は「了供の方が手はかかるし、ト イレもお風呂も使うんだから子供料金をもらうのは当然でしょう」といいますが、 私もそうだと思います。
 
 最近、アメリカのお得意さんに「この宿は、1人の時の料金は安いけれど、2人3人になった時はホテルの方が安いか ら、家族で来るとホテルに行く、1人料金を値上げして2人3人の料金を大幅に下げることを考えた方がいいですよ」と言われました。
1人料金を値上げできるような現状でありませんし、2人3人料金を下げたら売り上げが減ってしまいます。 これは、私にとって難問題で、いまだに手をつけかねています。


日本観光旅館連盟 日観連月報より